波乱の時代アラン グリーンスパン

時代

知識の自叙伝

この本の面白さは、なんと言っても
この本がグリーンスパンの単なる自叙伝ではなく、
彼が如何にして、どのような知識を得て、実践してきたかという
彼の知識の自叙伝だからである。

また、その知識を実践する場がアメリカ経済のみならず
世界経済に対してもっとも影響力のある機関FRBであることが
この本を非常に魅力的で稀有な本にしている。

とくに、驚くべきはグリーンスパンの知識のディテール
へのこだわりである。普通の経済学者と違い
ミクロ経済のディテールからマクロ経済の知識を
積み上げていったのが彼のFRBでの実績を支えた、
ひとつの要因ではなかったのか。

また、この本は、アジア経済危機やメキシコの債務超過危機に
世界を救った三銃士のもう一人、ロバート・ルービンの
「ルービン回顧録」と併せて読むと、アメリカ政府の経済運営の
内側やクリントン政権の経済政策を理解できると思います。
さらに、民主党のルービンと共和党のグリーンスパンが
党派を超えて自由貿易主義のもと協力して経済運営をする超党派的姿は、
現在の共和党と民主党の行き過ぎた対立が現実世界に
どのような結果をもたらしたかを浮き彫りにする
いい対比になるのではないでしょうか。

理性を信じ、品位を保った最後の紳士

 ニクソンから息子ブッシュまで多くの大統領に仕え、数多の議員と論争し、マスコミにやじられ、煮え湯を飲まされたが、この本では、他の著者(例;スティッグリッツ教授)にあるような、激烈な非難の言葉や汚い非難は一切ない。ニクソンまでが、その頭脳の優秀さを最大限賞賛され、但し自分はニクソンのヒステリックな罵詈雑言を聞き、職を辞退したとの一言だ。クリントンに関しては、財政黒字化のために拒否権を発動した勇気と知性をたたえ、あの醜聞に関しては、「信じられなかった。」とのみのコメントだった。
 最初の結婚の失敗も全て自分のせいにしている。
 ここまで、率直かつ清廉な文章を書く人間は久しぶりである。

経済と政治

貢献はたしかに大きいが、わかりにくい言説の人であること、まだ現役に近く、政権や現役者に遠慮のあろうことから、あまり期待していなかったところ、そのあまりの率直さに驚かされた。小さな政府、人間の自由意思という、哲学的な原理から共和党を支持して貢献してきたグリーンスパンが、いわば敵の民主党のクリントンの下で僚友に恵まれいい仕事ができた一方、ブッシュジュニアの下では足元がくずれるような裏切り、絶望感の下で仕事していたのだとわかり、ほんとうに驚いた(ほかの点は既知の事項に属することが多かったが、この点は本人がいわないと、わからない)。354頁あたりで名指しで、財政均衡を党利党略の犠牲にした政治屋を攻撃しているあたりは、単なるエコノミストを超えた経済学者としてのこの人の真髄を見た気がした。波乱の時代(上)
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知識の自叙伝
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この本がグリーンスパンの単なる自叙伝ではなく、
彼が如何にして、どのような知識を得て、実践してきたかという
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