本書が追っている相手は我々の想像を超えて大きいのかもしれない本書、第8章は、
「一見無関係のマイナスイオンと水からの伝言を調べていくと、一人の人物につながりました。」
という書き出しで始まるいささか唐突な記述で終わります。(慎重に実名は秘されていますが)
最近になって、この「人物」が不祥事のため「ある要職」を辞したとのニュースがマスコミを賑わしました。
本書が追っている相手は我々の想像を超えて大きいのかもしれない、との思いを新たにしました。
著者の真摯な姿勢に頭が下がる思いです。
科学報道の問題点『アルツハイマー病の誤解』と立て続けに、科学報道の問題点に関する新書を読んでしまった。メディアにあふれる健康情報や危険情報の多くが偏ったものであることを指摘し、それを報道する側の不勉強をまず批判して、科学者・行政の対応も足りないと指摘する趣旨は同だ。しかし、本書の方が構成もねられているし、議論もしっかりしている。それに、著者が新聞社の内部にいる『アルツ・・・』より、フリーの科学ジャーナリストによる本書の方が反発を感じない。筆一本で勝負している人間と、ぬくぬくとしたサラリーマンの差かもしれない。読まれるなら本書の方を推薦します。
本書は科学報道に焦点を当てているのだが、経済報道でも政治報道でも同様の問題点を私は感じている。いずれの場合もメディアの前線に立っている記者の不勉強が第一の原因である。その背景には、日本のジャーナリズム業界で専門家を育てない慣行があるのではないだろうか。スポーツ報道を見ても、信じられない質問をする「キャスター」がいたりして、「素人の視点」にもほどがあると思う。経済でも政策でも科学でも同じで、論理を紡ぐ努力をせずに、「素人の視点」で目先の善悪のみを断罪しているのは極めて危険だ。
そのもう一つ背景には、大衆の「アンチインテレクチャリズム」があるのではないかと私は疑っている。アメリカでもこれは大きな問題で、ブッシュがゴアに勝った最大の原因はここにある。ヨーロッパではエリートがまだまだ威張っているので、歯止めがかかっているのだろう。わが国では政治指導者が平気で「難しいことは分からない」と言っちゃうのだから病は深い。
結局、メディアはその「アンチインテレクチャリズム」に乗っているだけかもしれない。メディアだって大衆の好みにそった情報を流しているだけだと言う指摘が本書にもある。ニワトリが先なのか、卵が先なのか。なんとも難しい。
メディアの科学記事を冷静に見れるようになる本○○は危険、○○を食べると・・・、という情報の罠や、マイナスイオンや水の伝言といったニセ科学について、等、メディアが報じるもっともらしい情報について、冷静に分析し、注意を促しています。
化学に関する実験の難しさについてのくだりは、筆者も複雑といっているとおり、読んでいて複雑でわからなくなってしまいますが、実験の条件等については、自分達も犯しそうな誤りを指摘してくれます。
また、政治経済に翻弄される科学、の章は、さすがに読んでいて恐ろしくなります。こんなことが国をあげて行われているのかと思うと、ぞっとします。
一人でも多くの人がこの本を読んで、メディアを冷静に見る目を養うことから始めてほしいと思います。メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書 (298))
本書が追っている相手は我々の想像を超えて大きいのかもしれない本書、第8章は、
「一見無関係のマイナスイオンと水からの伝言を調べていくと、一人の人物につながりました…